数年前の夏、沖縄に行った。
その日、よりによって沖縄本島には3つの台風が来ており、19時台の予約便が飛ぶのかどうか気になって早朝から羽田へ行って待機した。
案の定、朝から全便欠航で台風通過→フライト復旧の推移を見守るしかなかった。夜までイヤと言うほどの暇を持て余し、いったん空港を離れ新橋まで戻って行き付けのカメラ屋に寄ってみると、以前から欲しかった『Olympus35Ⅳa』が置いてあった。50年程前に製造されたOlympusの機械である。
よく見るとシャッターは1/500秒まででる精工舎の高級型「ラピッド」が装着されており、外観もD.Zuiko F.C 4cm F3.5レンズ(古いOlympusレンズの持病『中玉前面薄曇り』はお約束)もかなり奇麗でオリジナルの革ケースもしっかりしていた。裏蓋を外してみると圧板はやはりガラス製だった。
精工舎のラピッドは高速シャッターを持っているので
、感度の低いフィルムを使えばNDフィルターが無くとも日中撮影は可能だし、なによりこの古いZuikoが8月の沖縄の強烈な太陽の下でどんな写りを見せるのかと思うとワクワクしてきて、つい衝動買いしてしまった。そしてその夜、いつもの最終便の頃になって無事に飛行機は飛んでくれて目出度く沖縄に向かう事が出来た。
「便利」なデジタル一眼レフカメラと共に沖縄のあちこちを写してみたが、「薄曇り」のD.Zuikoレンズは想像以上の絵をフィルムに結像してくれた。
さて、その時には無かったが、純正フード・レンズキャップを後から「奇跡的」に入手できた。またごく最近更に二個のフード(一つは新品未使用!)を「超々奇跡的」に入手した。
あの時はフードが無く、強烈な太陽光線の位置によってフレアーが生じたが、今一度「完全装備」で真夏の沖縄の太陽の下で撮影してみたい。機械もレンズもアクセサリーも只眺めているばかりでなく、そんな「写欲」を起こさせる愛すべき一台である。